二重のセーフティーネットで
「日本の建設現場を安全」に
日本全国の建設現場で日々、あってはならない墜転落事故が起きている――。
それは普段、日本人の多くが目にすることのない、知られざる現実だ。
全産業のなかで、高所の危険作業を伴う建設業は、死亡災害の発生件数が多い。それでも、高度経済成長で建設ラッシュに沸いた1960年代に、年間2000人を超えた死亡災害は、半世紀の歳月が過ぎたいま、300〜400人前後にまで減少している。
その陰の立役者となって、建設現場の安全と命を守る画期的な「繊維仮設資材」のパイオニアであり、業界のリーディングカンパニーであり続けてきたのが、キョーワである。安全ネットや自社開発のメッシュシートを施工を担うお客様に提案し、数多くの現場で「失われたはずの命」を救ってきた。
建設現場の安全対策がまだ黎明期にあった時代、いち早く「人命最優先」と「ユーザーの安全・快適、そして利便・効率」を不変の理念に掲げて以来、50年間にわたりキョーワが誠実に愚直に貫いてきたことが、2つある。
「事故を未然に防ぐ、職人を落さない製品」
「万が一に墜転落した時も、その命を受け止められる製品」
その両面で文字通り、二重の「セーフティーネット」となる製品開発・供給を通して、死亡災害を防ぐ最終手段となる重責を担い続けてきた。その使命の存在感は、新規建設の投資需要が旺盛ないまも、そして高度成長期に建設されたビルやマンションの建て替えや耐震工事が増えていくこれからも、さらに高まっていこうとしている。
証言-01
「尽きることのない使命」
建設現場の死亡災害は減少傾向にありますが、まだ年間約300〜400件で高止まりが続いています。キョーワの全社員には、共通する一つの想いがあります。
「死亡災害がゼロになるまで、私たちの役割が尽きることはない」
職人さんの命を守り、安全・安心・快適な現場に変える仮設資材の開発と、安定的な供給を追求し続けることでいま、圧倒的な業界シェアを誇っています。営利企業として製品価値にふさわしい正当な利益を得ながらも、その根本には何よりもまず「人の命を守る」ことを忘れない。それは決して変わることのない私たちの理念であり、行動姿勢です。
創業者である会長が海外視察時にヒントを得て、業界に先がけて開発したメッシュシートはいま、一般的な建設現場で飛来や落下を防ぐスタンダード製品となっています。それまでは金網やゴルフネットを足場に架ける程度の養生でしたが、繊維製のメッシュシートはキョーワが初めて、独自に創り出したもの。そこから、いまにつながる道が切り拓かれました。
「命を預かる製品」の想いを共有し、
全国の現場に「キョーワ品質」を供給
東京スカイツリー
より多くのお客様に、より多くの現場で、使いやすいように――。使命を全うするために、キョーワは独自の仕組みも構築している。それが「メーカーによるレンタルシステム」だ。
仮設資材の多くは一般的に「メーカー→レンタル業者→ゼネコンなど施工現場のお客様」という流れで供給されている。だが、キョーワは自らの手で生産した製品を直接、現場のお客様にレンタルで供給する工夫を編み出した。その理由は「より安いコストで供給でき、利便性も良くなる」、何よりも「命を守る製品の品質を万全に維持できる」からだ。
さらに、適切な管理で再利用することで、環境に配慮した循環型製品にできるメリットもある。使用された製品は、各工場で熟練の作業員が責任を持って、汚れの除去や補修などのメンテナンスを行い、次の現場に供給する。作業員はすべて正社員なのは、「人の命を預かる製品」との想いを誰もが共有し、高いレベルで一貫性ある品質を維持するためだ。北海道から沖縄まであらゆる現場に「全国均質のキョーワ品質」を届けることができるのは、他社にはない大きな強みであり、信頼の源泉となっている。
また、お客様ごとに異なるニーズを満たす営業提案力、規格外の製品開発も可能にする技術力も、業界屈指で「選ばれる強み」と言えるだろう。製品開発は、営業がお客様や現場の職人の「あったら、いいな」との声を拾い上げることが、スタートラインになる。日々、開発・供給され続ける高品質の製品群と豊富な生産・供給量は、その数だけお客様の納得と満足を創り出している、とも言えるだろう。
証言-02
「選ばれる理由」
建設業界で知らない人はいないほど高い知名度を誇るのは、50年間にわたって先輩たちが築き上げてきた信頼と人脈のおかげです。その原動力となってきたのが、製造から現場供給までを一貫して手がけるキョーワの総合力です。
建設現場を訪問して製品を提案し、設計図を入手する営業部門。安全基準を満たす仮設資材の割付図を作成し、必要な数量を算出するCAD部門。受注後、工場の生産や配送業者を手配する業務部門。高品質で生産力も高い、工場の製造部門。全国の現場へ間違いない製品デリバリーを担う倉庫部門。お客様や仕入先との正確な入出金を管理する経理・財務部門。一体感を持ってそれぞれの役割を全うする総合力が、お客様に信頼され続けています。
売上げが数兆円規模のスーパーゼネコンなど、お客様は建設業界の有名企業が中心ですが、私たちは下請けの材料納入業者ではなく、直接取引のパートナーとなる存在です。また、製品に使う機能性高い繊維素材の仕入先も、国内の大手原糸メーカーです。双方をつなぐパイプ役として、ニーズにマッチングする新製品を共同開発できる環境が、業界をリードし続けている理由です。
「自分の現場」「私たちの製品」と
呼べる挑戦を若いチカラで
街を数百メートル歩くと、必ずキョーワの製品が視界に飛び込んでくる――。スケールの大きなスーパーゼネコンによるビッグプロジェクトから小規模な流通店舗の工事まで、多様な建設現場に採用される繊維仮設資材は、誰の目にも触れる製品だ。建物が完成すると姿を消し、後には何も残らない商材だが、残念がる社員は意外と少ない。それは自らの手がける仕事と事業が「人の命を守るために、なくてはならないもの」との確固たる信念を持っているからだ。営業の一人ひとりが「あそこは、自分が供給した現場だ」と、仕事中も休日に家族と遊びに出かけた時も、工事に携わった達成感を素直に語れるのは、その証しと言える。
老朽化した建築や公共インフラを、どう維持していくか。少子高齢化に伴う人手不足が問題化する現場で、いかに安全を守り続けるか。これからの時代に向けて、キョーワも新たな解決ミッションに挑戦していこうとしている。鉄やコンクリートにも劣らない、粘りや強度がある新しい繊維素材の活用。高齢でも扱いやすく、台風の衝撃荷重も和らげる、さらなる軽量化。そして、建築用仮設資材だけでなく、世界でも他にない商品として需要が高まる土木工事資材のフィルターユニット。軽くて丈夫な繊維系資材の可能性は、まだキョーワにとって未踏の分野での新しい市場・お客様の開拓へとつながっている。そのチャンスをつかみ、次なる成長の種を芽吹かせていく「私たちの製品」を創り出す担い手となる期待が、若いチカラに託されようとしている。
証言-03
「NEXT50へ
チャレンジを忘れない」
私にも「自分の現場」と呼べるシーンがあります。阪神・淡路大震災の発生直後に入社し、神戸支店のフロント業務担当として最前線に立ち、震災復興に邁進する神戸の街と人を支えました。一つの建物ではなく、神戸の街全体が「自分の現場」でした。その後も今日まで、東日本大震災や西日本地区の豪雨災害、その復旧現場には必ず、私たちが縁の下で役割を果たしてきました。今後も台風の大型化など異常気象は続くと言われ、安全基準の見直しも検討されるなかで、キョーワの製品群もさらに高い品質と強度が求められますし、安全基準を遥かに上回る「私たちの製品」と呼べる開発を独自に進めています。
安全のために、人の命を守るために何ができるか。業界のリーディングカンパニーであっても、現状維持は衰退へとつながります。好不況に影響されない財務基盤と地位を確立しながらも、満足することなくさらに成長し続けるために、いろんなことにチャレンジする探求心を忘れない。その想いは経営層から新入社員まで、しっかりと浸透しています。若いみなさんに、50周年の「その先のNEXT50」を描き出し、創り出して欲しいと願っています。